先日、神戸で行われたダンサーとのショーケースでの出来事。
久しぶりに父と会い、ダンスの進行に合わせ、太鼓の流れを作っていった。
ここ最近、年に1度か2度、父が行うワークショップで、オーディション通過者と絡む事があり、その時はここぞとばかりに、色々聞き、試す事が出来る。
私が最も尊敬し、かつライバルと勝手に思っている相手、父にだ。
私は数年前より、格段に手は動くようになった。その事は父も誉めてくれる。
しかし、私と父では、音が、空気が違う。
みんなの前で、叩いてみろ、と父に言われる。
叩く。
ダンサー達は、「凄い!」とか言ってくれる。圧倒されているのも感じる。
しかし、父が叩く。
もちろん同じような反応だが、空気が違う。何か周りを優しく包んでいるような、問いかけるような音が、そこにはあるように感じる。事実、みんな動かずじっと父の姿を見ている。
離れていてもそうだ。
ダンサーがリハーサルをしていても、父が叩くと、ふとそちらを見る。
これで衝撃的だったのがある。
横浜で初めてソロとしてデビューしたときのワークショップ。みんながワーク(100人以上いる!)している間、私は邪魔にならないよう、部屋の隅で練習の為バカスカ叩いていた。
もちろん、みな夢中で受けているので、見向きもしない。
その時、父がフラリと寄って来て、手でたたき出した。すると、この時同じく受講していた世界トップのフォーサイスカンパニーの5人が急に動きを止め、こちらを向いた。次第に周りの受講生も止まる。
父の視線の先は、フォーサイスカンパニーの5人。
この時、ハッキリ言って100人以上がワーワー言いながら受講していたし、結構大きな部屋だったので、太鼓からフォーサイスカンパニーまで、かなりの距離があった。
音量だけで言うなら、手で叩く位なら聞こえないはず。
しかし、完全に相手の動きを止めた。
このときの事を後で聞くと、父は、確実に相手を捉え、そこに向かって叩いていたのだ、と言う。
舞台人としては、当たり前の言葉がそこにあった。

続く