たった1つの楽器で、ここまで顔を様々変えることが出来るのは、和太鼓だけでは無いでしょうか。
侍を鼓舞するために使ったりですが、面白いのは状況や使い方によって全然変わるんですね。
例えば、夜に篝火を焚いて鬼の面を被って太鼓を叩く。
これも戦国時代に使われていて、これを見た相手は大層怖かったそうです。
想像してみて下さい。
真っ暗な山の中で、篝火の横で鬼の面を被って「ドンドコドンドコ…」と雄叫びもあげながら叩いているんです。
情報過多の今なら別にって思う人はいてそうですが、当時はかなり怖かったと思います。
この演出は、能登の御陣乗太鼓です。
他には
お化け屋敷の、ヒュー〜ドロロロ…ってありますよね?
あれも太鼓で表されてました。今は知りませんが(笑)
また、
障子や襖をピシャ!と閉めた時の音も、竹バチで太鼓を叩いて表現されてました。
他にも
雨音、雷音、風音、雪音…など、自然現象を太鼓1つで表現出来るんです。
僕は雪音がこの中では一番好きです。
場面は夜。風の無い夜。外はシンシン降りつもる雪。
音は雪によって消されるその様を、太鼓で表現するのが、僕は好きなんです。
07年に「写楽考」という舞台に出させてもらったとき、それを使いました。
写楽演じる堤真一さんが、牢屋の中で長ゼリフを言ってるときに、バックで僕が雪音を静かに鳴らすんです。
堤さんからも演出家からも評判良かったです。
どこか懐かしい感じもするし、奮い立たせる気持ちにもさせられる和太鼓。
木をくり抜いて皮を貼り付けてただけの楽器ですが、こんな顔を持ってますよ!という話でした。
では、今日もガンガン叩いてきます!
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